あみの中東縦断一人旅。

旅日記15 ヨルダン・死海編「実はビーチリゾート!死海で海水浴、死海で読書」

 

今日は晴天死海日和。
塩分濃度が濃すぎて生物が住めないことからDEAD SEA(死海)という
名が付いたこの湖は、ヨルダンとイスラエルの国境に位置する。
思い出すのは小学校の社会科資料集に載っていたプカプカ浮かんでる写真。
あの頃は死海が世界のどの辺りでどこの国にあるのかも知らなかったな。
標高が約マイナス400mの死海は世界で一番標高が低い場所でもある。
2004年に訪れた、海抜4718m、世界一標高が高い塩水湖、チベットのナムツォ湖。
2006年に訪れる、海抜マイナス405m、世界一標高が低い塩水湖、ヨルダンの死海。
偶然とはいえ世界一を両方制覇するなんて、なんだかとても素敵なことに思える。

朝根性で早起きし、宿のロビーに集合するもメンバーが半分いない。寝坊か!
昨日会ったばかりでどこの部屋に泊まってるのか分からないので、
えーい!と勘で部屋をノックしてまわる。早朝に間違えて起してしまった方、
本当にすみません。運良く二回目の挑戦でやっと本人が見つかり、準備を待つ。
死海に行くメンバーは私、レバノンから南下してきたベイルートくん、
韓国人の兄妹(二人とも私より年上だからオッパとオンニ)の四人。
兄妹で旅してるって珍しい。お兄ちゃんがしっかりもので、頼りがいある。
サーメルが手配してくれた良心的なタクシーが、宿の前で待ってる。
1日チャーターで、24ディナール。つまり一人片道3ディナール。
四人乗り込んだら席もぴったり。よし、死海に向けて出発だ!

そうそう、昨日の夜宿のロビーで話してるときに、一人で死海に行った人の話を聞いた。
行きはよかったんだけど、帰りにヒッチハイクしても車が全く見つからなくて、
仕方ないから泊まるホテルを探したんだけど、死海の周りは高級リゾートホテルばかり。
なんとか1泊できたけど、T/Cが使えなくて手持ちの現金が底を尽きてしまった。
お腹がすいたのにレストランで食事をするお金もない。T/Cは沢山あるのに・・・。
そこでリュックに入ってたインスタントラーメンをお湯をかけずにそのままかじった。
粉を振り掛けつつ、硬い麺をボリボリかじって、なんで俺こんなことしてるんだろう
って思ったそうだ。物凄い経験してるなぁ、と、印象的だった。

標高約800mのアンマンから標高約マイナス400mの死海沿岸まで下っていく。
道のりは約5kmなのでそんなに遠くなく、真っ直ぐな道をひたすら下る。
途中海抜0m地点を通り過ぎ、世界一の低地にだんだんと近づいていく。
タクシーの運転手はお喋り好きで、アラビア語で沢山話しかけてくるんだけど
何にせよ英語が通じないため、せっかくの説明もあまり聞き取れないのが残念。
意思疎通が取れてるんだか取れてないんだか不明だけど、そんなのお構いなし。
死海周辺のレストランは高いということで、途中小さな商店に寄ってくれた。
そこで言われるがまま水やお菓子を少し買って、またタクシーは走り出す。
死海はイスラエルとヨルダンの国境上にあるためか、途中に何度も検問があった。
警官にタクシーを止められ、一人一人のパスポートチェックがある。
トルコではあんなに寒かった気温も、南下するにつれ暖かくなってきた。
車内もだんだん暑くなってきた。窓を全開にすると、風が心地よい。
遠くにキラキラと光る青がみえてきた。あった!あれが死海だ!

 

死海の対岸には様々なビーチがあって、高級リゾート的なところから、
設備のあまりないところ、気軽に楽しめるところ、いろいろ種類があるみたい。
今回は手ごろに楽しめる市民の憩いのビーチ。入口で入場料4ディナールを払う。
わーーー!!と両手をめいっぱい広げて、砂浜に向かって一気に駆けていく。
軽く波打つ海岸もあり、そこは普通の海と全く遜色無い様に思えた。
ここでもダウンジャケットとマントなのが、ちょっと場違いに思える暖かさ。
死海の名とは程遠い爽やかさで、湖面は真っ青で太陽の光をうけて眩しく光る。
対岸に見えるのはイスラエル。ピンクがかった岩肌がすぐ近くに感じる。
朝早いからかビーチには人があまりいない。前もって下に水着を着てきたから、
砂浜でそのまま一気に服を脱いだら準備完了。ここはイスラム教文化圏で
ベールで身を隠す女性が多いことからも分かるように、女性の肌を露出させるのは
あまりよくないことのような気がする。自分がイスラムじゃないからって、
そんな人々の前で肌の露出が多い水着で泳ぐのもどうかなって思ったし、
郷に入れば郷に従え。その土地の習慣を大切にしたいって思ったから、
水着の上に服を着て泳ぐ事にした。Gパン以外に薄手のタイパン持っててよかった。

まるで海みたい。砂浜から一歩、水に入る。
生物が住んでいないからか、水は無色透明で底が見えるくらい綺麗。
うわ!水がなんか凄いぬるぬるしてる!朝だからか若干冷たいけど、心地よい。
足元は砂に混じって塩の塊も多い。塩がさらさらしてる部分はいいんだけど、
岩塩みたいに固まってる部分は足の裏にチクチクささって痛い痛い!
(後で宿に戻ってから鋭い岩塩で足を沢山切っていたのに気づく)
浅瀬からどんどん深いところへ進んでいく。体がふわふわと浮いてしまって
なかなかうまく進めない。水は海水の何倍も濃いからか、ぬるぬるして
まるで油の中を泳いでるみたいで動きにくい。体の力をすっと抜いてみる。
一気に体全体が水面に浮かび、頭も、手も、上半身も、足も、水面から出てる。
唯一腰の辺りが少し水につかってるくらいで、なんだか空中に浮いてるような気分。
目を閉じる。羽毛でできたふかふかのソファーに寝転がってるみたいだ。
体が浮きすぎて少しバランスを崩すとくるりと転げ落ちてしまいそう。
さっそく用意してた新聞で「死海で浮かんで読書する人」の記念撮影。
これがやりたかったから、一人では来なかったのだ^^(さすがにオートじゃ無理)
ここは岩塩の遠浅みたいで、うまく浮かべるところまで移動するのに一苦労。
写真の出来はイマイチだったけど、それでも、やりとげた達成感が嬉しい。

 

泳ごうとすると浮力が強すぎてうまく泳げない。潜ろうとしても潜れない。
やはり体の力を抜いてプカプカと浮かびながら移動するのが一番のようだ。
そんな感じでプカプカと浮かんでいたら、肌が少しヒリヒリとしみてきた。
ちょっと浸かっていただけなのに、さすが高濃度塩水、刺激が強い強い。
水につかってられなくなって、浜辺に上がって休憩する事にした。
湖からあがっても、体が水をはじかない。皮膚の表面に薄い膜ができたみたいに、
ぬるぬるが体にこびりついて離れないのだ。さすが、死海パワー。
タオルでぬぐって、やっと塩水でできたぬるぬるが体から離れる。
死海の水がどれだけしょっぱいのか、試しに舐めてみる。
ギャー!苦い!苦い!苦しい!ショッパイを通り越してニガイ。舌が痺れる。
どのくらい高濃度の塩水かってことが、一瞬にして身を持って分かりました。
日差しが強いからすぐに体が乾く。すると尋常じゃないくらいの塩の結晶。
顔も、服も、塩で粉をふいてる。体中の塩を集めて、食塩が作れそうな勢い。
髪の毛もパリパリで固まってる。改めて死海の塩濃度の高さを感じる。

地元ヨルダンの子供が人懐っこく寄ってくる。
カンボジアみたいに物売りかな、とか、何か裏があるんじゃないかって
警戒してしまって、追いかけてくる子供を邪険にしてひたすら逃げてまわる。
でもそんなことを繰り返してたら、その子供達が本当に無邪気だってことが分かった。
ああ、旅して騙されないように強くなったけど、その一方で純粋な心が減ってしまった。
一人旅してると、自分の身は自分で守らなければならないから、
騙されないように、人を疑う事を覚える。それがいい事なのか悪い事なのか。
今回ばかりは無邪気な子供達を疑ってしまった自分を反省した。
そのヨルダンの子供達は写真が大好きなのか、「撮って撮って!」と何度も
せがんで来たり、逆に「撮らせて撮らせて!」とカメラを奪い合ったり。
3人姉妹なのか、仲良しで、人懐っこくて、可愛らしい。
結局ビーチでは私達旅人4人組とヨルダン姉妹3人組の7人でずっと遊んでた。

 

この日は金曜日(イスラムの安息日)だったため、ヨルダンは休日。
朝方は人が誰もいないプライベートビーチだったのが、
昼になるにつれて、地元の家族連れがどんどんと増えてきた。
まるでその様子は夏の海水浴と全く同じ。家族連れで水際で遊んだり、泳いだり。
ここで育った人たちの中には死海が普通の海だと思ってたりするんだろうか。
もしいつか本当の海に行って泳いだら、その差に驚愕するんじゃないかな、
なんて想像を一人膨らませてみたり。実際はどうか分からないけど、
そのあまりにのどかな地元人の普通の海水浴の様子が、以前イメージしていた
死海の様子とはかけ離れてたので、拍子抜けしたというか、驚いた。

荷物はあまり泳がない韓国オッパが見ててくれるというので、
一人海岸をぶらぶらと遠くまで歩いてみた。足元の砂浜が、どんどん姿を変える。
完璧にサラサラな砂状態の真っ白な塩の砂浜に足跡をつけつつ進んでいったり、
岩塩の岩場が沖に突き出しているところや、岩塩のみでできた島なんてのも発見した。
やっぱり水が綺麗。人気の無い遠いところまでくると、さらに透明度が増してる。
ここでお土産に「死海の塩」を持って帰ろうと思い、ひろっては袋に入れていく。
砂状のサラサラ塩の塊、岩塩、石ころや貝殻みたいに、いろんな形がある。
夢中になって素敵な塩を探した。一人何やってんだか。でも楽しい。

散歩を満喫してまたビーチに戻ると、ベイルートくんが泥パックにはまってた。
岩塩の縁に手を入れると、そこには上質な泥がたっぷりとたまってる。
きめ細くて絹みたいなしなやかさで、その泥はまさにパックにふさわしい。
中国の泥風呂ニーバーユーを思い出す、気持ちよさ。もっちりと離れない。
ベイルートくんの全身泥塗りを手伝ってあげてると、羨ましくなってきた。
最初は手にちょっと塗ってるだけだったけど、えーい!思い切って顔に塗っちゃえ!
ヨルダンの子供達がキャッキャと喜んで、同じく自分達の顔に塗って真似てくる。
更には私の顔の泥パック塗りを手伝ってくれて、予想以上に完璧に仕上げてくれた。
いや、顔はちょっと塗るだけのつもりだったのに、もう目の周り以外全部真っ黒(笑)
泥パックのもっちり度はまさに粘土みたいで、厚く塗っても全く離れない高密度。
ミネラルが豊富で美容に効果的だということで、同じく泥パックしてる人が結構いる。
水着の上に服を着てるから全身というわけにはいかないけど、肌が出てる部分は
全部泥で覆ってしまった。岩塩の奥に手を入れれば入れるほど砂が混じってない、
生粋の泥パックが手に入る。きめ細かな泥対決したり、みんなで泥遊びも楽しかった。

ちなみに泥パックを落とすのが一苦労だった。
地元人向けのビーチなのでシャワー室も無く、屋根の上からホースの水が流れてくる
オープンな場所が数箇所あるくらい。地元の少年達が水を頭から浴びて遊んでる。
滝みたいに一本の流れなので、体に当たるとばちばちと水が周りに飛び散る。
もっちりした泥はなかなか体から離れてくれず、後ろには順番待ちの人が待ってて
必死にごしごし泥を落としてる姿を見られて、焦って、少し恥ずかしかった^^

高濃度ミネラルの海水のおかげか、死海泥パックのおかげか、
いつの間にかお肌がすべすべつるつる。むきたてゆでたまごです。
エステで使われてる理由が分かった。数時間で明らかに効果が出たもの。
普通の海みたいにヨルダンの子供達と一緒に砂浜穴掘りしたり、砂の城作ったり、
休憩を置いては何度も死海に入って泳いだり、浮かんだり、飽きずに遊んでた。
海に浮かんで読書って気持ちいい。空と海に包まれてる感覚。
死海でのこの不思議な浮遊感は、一生に一度の体験だと思う。
死海でビーチリゾート満喫。なんて贅沢なんだろう。

次回、イスラエル入国編につづく。
死海。予想以上に綺麗で感動!!
あちこちに岩塩の塊が
早朝は人がいない。子供に混じって
これも全部岩塩。かなりの硬さ。
裸足で歩くと足の裏がチクチク痛い
イスラムの親子。ほのぼのとする
だんだんと地元民で賑わってきた
白いのは波じゃなくて、全部粉状の塩
海水が乾くと、服も肌も白い粉をふく
首元もいつのまにか塩で真っ白に!
顔まで全身泥パック。怪しさ満点
一緒に遊んだヨルダンの子供達
本当に普通のビーチリゾート状態
この岩塩の縁に泥パックが沢山
死海での素敵な体験。浮遊感。

 

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