あみの中東縦断一人旅。

旅日記13 シリア・ダマスカス 旧市街編「世界最古の街とモスク、大好きな国シリア」

 

そろそろヨルダンに行きたいけど、優しい国シリアから離れがたい。
オールドシティも見たいし、と理由を付けてもう少しシリアを楽しむことにした。
前回道に迷って行けなかった、ダマスカスの旧市街。丸っきり反対方向だった。
今までいろいろ探索してたのはダマスカス駅やバス乗り場の近くあたり。
ダマスカスは歴史上人間が住みつづけている世界最古の都市、と言われている。
古い建物には重みがあり、“現存する世界最古の都市”という名に恥じない。
商店街は思ったよりも広々した明るい通りで、両脇には商店が沢山ある。
アレッポのスークのような狭い込み入った通りとは違う、整然さがあった。
アラブ世界では有名で、ここで見つからないものは無いといわれる程の広さ。

噂に聞いてた美味しいデザート屋を発見!25sp(\58)のアラビックアイスを注文。
アイスに香辛料を入れて、餅つきのように杵でついてこねていたのが印象的。
ピスタチオをまぶした真っ白いアイスをコーンにたっぷりのせてくれた。
トルコアイスに通じるものがあるのか、モチモチとした食感が新鮮でおいしい!
ジェラートみたいな舌触りなんだけど、しっかり歯応えがあってねばねばしてる。
これがシンプルながらかなり美味しくて、食べ応えもあって大満足。

スークを真っ直ぐ歩いてると、急に目の前がひらけて大きなモスクが目の前に。
「ウマヤドモスク」、8世紀(715年)に建てられた世界最古の貴重なモスク。
それだけでなく、更にイスラム教四大聖地の一つでもある。実は物凄い場所みたい。
メッカ、メディナ、エルサレムに次ぐ第四の聖地、世界中からの巡礼者が絶えない場所。
50sp(\115)のチケットを買うと、女性は灰色のベールを被らないと入れないと言われた。
服の上からすっぽり被りフード部分で髪の毛を隠すと、まるでネズミ小僧みたい。
ダウンジャケットの上から着てるとなんかモコモコして格好悪いー。
灰色のカッパのようなベールに身を包んだ自分の姿がなんだか可笑しかった。

 

地元人や巡礼者は正面から入れるんだけど、観光客は北門からでないと入れない。
靴を脱ぎ、北門をくぐる。そこは外からは全く想像できないほどの優雅な空間だった。
城塞のような外観とは対照的に、建物も何もかもが非常に豪華で息を呑むほど美しい。
鏡のように美しく磨かれた大理石が敷き詰められた中庭。それは空を映すほどの輝き。
中庭にある宝のドーム、沐浴のドームなどがその存在感を示している。
三方を取り囲む回廊の石柱はまっすぐ、そして整然と並んでいる。
その屋根から飛び出ている塔はアラルース・ミナレット(花嫁の突塔)。
礼拝堂には鮮やかなモザイクが施され、緑色と金色のコントラストが映える。

どういう順番で見たらいいか分からないけど、とりあえず礼拝堂の中に入ってみる。
130mもの長さ。アーチ状の石柱が並び、床には美しい刺繍の絨毯が敷き詰められている。
4世紀にキリスト聖堂であった名残か、窓にはステンドグラスの鮮やかな色合い。
天井のクーポラにはアラブ文字。キリスト教とイスラム教が共存している不思議な空間。
礼拝堂の一角には聖ヨハネの墓もあった。イエス・キリストを洗礼したバプテスマのヨハネ。
サロメが踊りの褒美にヨハネの首を所望したため、首をはねられてしまったあのヨハネ。
そのヨハネの首が安置されている。イスラム教の預言者の一人でもあり、
モスク建設時に出てきたため、ここにヨハネの首が安置されることになったという。
真っ黒なベールに身を包んだ女性達がヨハネの墓を取り囲み、祈りを捧げていた。
ヨハネのために涙を流しているイスラム教徒も多く、その姿は私の胸に深く刻み込まれた。
衝撃だったし、圧倒された。宗教の力にも、泣いている女性達にも。感動してしまう。

ミンバル(説教壇)の近くには枠で囲まれた場所があり、指導者が信者を前に説法。
端のほうでは地元民が寝転んで、寛いでいる姿も見られる。宗教としての場所だけでなく、
地元の人の休憩場所としての役割も果たしているのが、なんだか素敵だと思った。
私も絨毯に座り込み、目を閉じて、聖地にいることを実感する。
アラビア語の祈りの声が聞こえる。悲しみなのか歓喜なのか泣き声が聞こえる。
地元の子供の話し声が聞こえる。指導者の説法が聞こえる。体に染み込んでいく。
ここがイスラム第四の聖地であることが、体全体で感じられた。
そのあまりの心地よさに、1時間以上礼拝堂の中で座り込んでいた。うたた寝もした。
ここには不思議な力がある。一日中だって飽きずにいることができる。

 

穏やかな気持ちで外に出ると、太陽の光が眩しくて、それがとても気持ちがいい。
ピクニックのように昼ごはんを食べてる家族。真っ黒なベールの女性達の集団。
それぞれが思い思いに過ごしている日常がそこにはあった。なんて素晴らしいんだろう。
本当にここに来て良かった。様々なモスクを見てきたけど、私はここが一番好きだ。
観光地化されていない、今でも地元の人の生活に根付いたままのモスクであり、
その一方で世界中のイスラム教徒を惹きつけるカリスマ的空気を併せ持つ場所。
最古のモスクでありながらその美しさは色褪せず、感動させられるほどの華麗さ。
ウマイヤド・モスク。お気に入りの場所。

長い時間を過ごし、後ろ髪をひかれつつ外に出る。
モスク隣にあった「サラディン廟」を覗いてみる。十字軍に占領されていた
エルサレムを奪い返した英雄のお墓で、銅像もあり立派にまつられていた。
広い通りから一本横道に入り、狭い生活路地を探検したい衝動に駆られた。
路地は人がかろうじて通れるような狭いもので、横には背の高い家が立ち並ぶ。
枝分かれする度に、適当に選んだ方に歩いていき、それを繰り返して進んでいく。
どこまで続いていくのだろう。抜け道だといいな。行き止まりだったらどうしよう。
そんなワクワク感を楽しみながら、迷子になるのも気にせず路地を進んでいった。

やっと広い場所に出たと思ったら広場のような場所で行き止まり。
幼稚園から小学生くらいの子供達が集まってサッカーをして遊んでいた。
こんな場所に来る外国人が不思議なのか、ハローと声を掛けてくれる子もいた。
それ以外言葉はほとんど通じないけど、スポーツは万国共通のコトバだね。
サッカーに少し混ぜてもらってシリアの子供達と一緒に走り回るのが楽しい。
日本のポンポン菓子のような、本当に地元の子供用のお菓子売りのおじさん。
クレープみたいな生地にチョコレートを塗って、くるくる巻いたおやつを売ってる。
珍しくて作る様子を見つめてたら、その子供向けのおやつを私にくれた。
お金を払おうとしたら、いらないいらない、っていうようなジェスチャーをした。
私が出来たのは、精一杯心を込めて「シュクラン(ありがとう)」って言うことだけ。
シリアの人の優しさをまた一つ感じた。子供達の人懐っこい笑顔にも癒された。

 

方位磁針を頼りに広い道に出て、お腹がすいたので昼ごはんにしよう。
50sp(\115)のざくろジュースと1個10sp(\23)のパン2個を買って、食べる場所無いので
道端で立ったままかぶりつく。アラビア語での注文もちゃんと通じるようになってきた。
スークを抜け東に進むと「Street called straight(まっすぐな道)」に出た。
新約聖書にも書かれている道が、東西1500mにわたってまっすぐに貫いている。
新約聖書の“パウロの改心”の逸話で有名な道が、まさにここに存在してるのだ。
エルサレムでキリスト教を迫害していたパウロが、イエスの弟子を捕らえるため
ダマスカスに来た際落雷で失明。天からの「まっすぐな道に行け」という声に
従ったところ、アナニアに出会い、目が見えるようになった。この奇跡によって
改心してキリスト教の伝道者となったという話。
 
車の行き来が非常に激しく、タクシーが多いのが意外だったけど、道なりに歩く。
このあたりはキリスト教地区らしく、教会の姿もちらほらと見かける。
パウロがユダヤ教徒の弾圧から身を隠したとされる聖パウロ教会もあった。
ウマイヤドモスクでも感じた、キリスト教とイスラム教の共存がここにある。
地元の人専用の商店を過ぎ、少し高級旅行者向けの土産屋を過ぎ、歩いて歩いて。
やっとのことでバープ・ジャルキー(東門)へと辿り着いた。
旧市街の東の外れまで歩いてきてしまった。そしてまた歩いて引き返す。
街行く人々の姿がどれも自然だ。シリアの人々はあたたかい。
黒いベールに身を包む女性達の中には、顔から指の先まで全身隠している人もいて、
前がちゃんと見えるのだろうかって心配になったり、驚いたり、凄いって思った。

 

あとはスークで小物の買い物を楽しむ。シリアの人はぼってこない。
外国人でも、地元の人と同じ価格でちゃんと提示してくれるのがすごい。
象の形をしたガラスの香水瓶があまりにも可愛くて気にいって、購入。
あとは行けないだろうイスラエル、行ったつもりでエルサレムの小皿や、
アラビア語読めないけど、その形が綺麗だと思ってコーランのミニ本も買った。
葉書を買ってモスク横の広場で、日本に向けて手紙を書いたり。
トイレに使用料10sp(\23)払うのが、中国みたいだなって思ったり。
ドルと余ってたレバノンのお金をシリアポンドに少し両替もした。
一人で足の向くまま気の向くまま、のんびり楽しく旧市街を楽しめた。
迷路のようなオールドダマスカスで、異世界へタイムスリップ。

宿に戻ったら今日探検しすぎて疲れたのか、ベッドに倒れこんだまま熟睡。
昨日と同じメンバーで夜ご飯一緒に食べようって朝約束してたんだけど、
寝てたためか置いていかれてしまったようだ。外はもう暗くなってる。
(寝顔が気持ち良さそうだったので、起こさなかったよ、とのこと)
一人でお店で晩ご飯はちょっと寂しいなー、なんて思いつつ、
昨日の美味しかったご飯やさんに行ってみると、偶然にもドミ同部屋の皆を発見。
なぜか考える事は同じだった模様。少し遅れたけど混ぜてもらう^^
ケパブとカレー風味の丸ごと一羽焼いたチキンを分け合いつつ食べる。
このカレー風味のチキンが、皮がパリパリで香ばしくて、すっごい美味!!

 

食後は地元民にも大人気のスークの有名デザート屋さん(朝アイス食べた店)にて
アラブのババロアことムハラビーヤを食べる。25sp(\58)で結構量がある。
白いライスプディングの上にココナツとピスタチオがふりかけてあり、
更にバラのシロップをかけて食べる。なんとも中東的な甘〜いデザートなのです。
これも食べたことがないような味で、非常に美味しくて、大満足!
夜は共同スペースで旅の話で盛り上がる。話しても話しても話が尽きない。
長旅になると何カ国にもわたるし、荷物になるからガイドブックは持って無い。
まあ、途中でどうにかなるだろ、と思ってたけどなかなか見つからない。
そんな私を見かねて、レバノンからずっと一緒に過ごしてる二人組の旅人が
エジプトのガイドブックを貸してくれた。優しい。情報無かったから助かる。
私は南下組、向こうは北上組だから、もうお別れで反対方向に進むけれど。
短い間だったけど、ありがとう。チュニジア人のイケメン兄さんもありがとう。
仲良くなった分、別れが辛いね。

シリアは本当に素敵な国。
中東アラブの雰囲気を色濃く感じる。
ゆったりとした独特の時間が流れている。
アレッポで感じた古都の味わい深さ。
パルミラで感じた遺跡の素晴らしさ。
クネイトラで感じた戦争の悲惨さ。
ダマスカスで感じた宗教と日常の融合。
何より、シリア・ホスピタリティの優しい人々。
誰もが旅人の私を親切に暖かくもてなしてくれた。
地図でも、ニュースでも分からなかったこと。
実際にシリアを訪れ体験して、初めて分かったこと。
シリアがこんなに素敵な国だってことを、大声で伝えたい。

大好きな、シリア。
大好きな、シリアの人々。
シュクラン!マーアッサラーマ!

ダマスカス・ウマイヤドモスクに佇む
 
ハトがいっぱいのモスク前広場
 
整然とした美しさにはただただ感動
 
ベールは黒以外に様々な種類がある
 
聖ヨハネの首が祀られている墓
 
壁に向かって祈りを捧げる信者達
 
説教台の上部にはステンドグラス
 
コーラン、色とりどりの背表紙が並ぶ
 
モスクの内部も美しい
 
パッと見ちょっと怪しい。あみ@モスク
 
人気の無いサラディン廟の内部
 
細い路地を探検するのが楽しい
 
派手に飾り立てられた送迎バス
 
中から子供達がわらわらと出てきた
 
濃い絞りたての石榴ジュース
 
キリスト教の教会も数多く見られる
 
お気に入りの一枚。シリア人と猫

 

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