あみの中東縦断一人旅。

旅日記10 シリア パルミラ遺跡編 「遺跡に一人、古代に思いを馳せる。涙の一人ぼっち」

 

さて、今日はパルミラ遺跡探検だ!!
パルミラ自体は本当に小さな町で、店の並ぶ通りがいくつかあるくらい。
オフシーズンで旅人もほとんどおらず、がらんとしてる印象を受ける。
朝ご飯に何か簡単なものを食べようかと思ったんだけど、何も見つからない。
小さな雑貨屋さんでお菓子やパンでもあるかと思ったのに、それも全然無い。
レストランのような店はどこも閉まってるままだし、食べるものが無くて困った。
そんなときに目に入ったのが、ガラスの向こうでグルグルと回るチキンの丸焼き。
準備中だったけど、もう他に開いてるお店が無いのでここでいいや!と頼み込む。
朝からチキンの丸焼きって豪勢だけど、これしか売ってないみたいだし、決定!
チキンの丸焼きいろんな所で見かけたんだけど、なかなか一人じゃ食べれなくて。
一羽を半分こして一人50sp(\115)、おなかいっぱいになったし、美味しくて大満足。
油が滴り落ちるジューシーなチキンに、ホムスと呼ばれる乳白色のソースをつけて食べる。
ホムスはサワークリーム、ヨーグルト、煮た豆などを裏ごししたものを混ぜたディップ。
思ったよりも豆の味が強いけど、アラビアン料理には欠かせないソースなのです。
腹ごしらえが完了したら、南米くんと別れて遺跡ではお互い別行動。よし、いくぞ!

 

人がほとんどおらず、たまに団体のツアー客がちらほらいるだけ。
ラクダに乗らないかっていう客引きが多くて少し辟易した。
旅行客がいないもんだから、ラクダを引き連れてひたすら後ろついてくるんだもん。
"Hello miss, where are you from? Hello, do you want to ride a camel?"etc etc
そのうち「RAKUDA ha RAKUDA ラクダはラクダ」って言うの。どの客引きも。
おいおい、誰が教えたんだよー。本当、会う人会う人「ラクダはラクダ」。



まずはベル神殿。東西210m南北205m、神像安置所と中庭は壁で囲まれている。
パルミラ遺跡の中で唯一入場料が必要なのがここベル神殿。
シリアはご存知のとおり学生料金と一般料金の差がものすごくある。
日本の学生証出したら「国際学生証じゃないと絶対ダメ」って言われて、立ち往生。
すごく厳しかったけど、最後は泣き落としで入れてもらった^^ありがとう。
ベル神殿は保存状態が非常によかった。円柱、レリーフ、神殿もしっかり残ってる。
コリント式の円柱が390本ずらーっと並ぶ様は、まさに圧巻と言ってもいい。
壁の向こう側にはオアシスがあった。茶褐色の砂漠が続く中、そこだけ緑が映える。

 

次は列柱道路。この通りは円柱に囲まれるメインストリートで、まっすぐな道が続く。
記念門からディオクレティアヌス城砦まで何百本もの柱が道路脇に並んでおり、
柱に囲まれた通りを歩いてると、まるで過去にタイムスリップしたかのような気分。
この通りを抜けると全く別の世界に抜け出る、そんな気にさせてくれる。



四面門に近づくと、それは思った以上に大きくて、柱がすべすべしていた。
四本の柱で造られた建物を正方形に4つ配置する事で門となっているから、四面門。 



ローマ劇場はこれまた保存状態が良く、発見当時もほとんど綺麗なまま残っていた。
観客席の上の方に座って、誰もいない舞台をぼーっと眺めながら水を飲んで休憩。
ほとんど観光客もいないのに、現地の人がアクセサリーを並べて売ってた。


 
お、向こうにラクダがいる!睫毛が長くて可愛い。戯れてたら、客引きが戻ってきた。
ラクダに乗らない?って聞いてくるも、ぼられそうだし断固拒否。
石がゴロゴロ転がってる道を走って逃げたら、ラクダにのって追いかけてきた(笑)
とうとう捕まって、ひょいっと抱えられてラクダに乗せられてしまった。
ラクダが立つともう逃げれない。内モンゴルでも乗ったけど、やはり座高が高い。
遺跡の岩が転がってる、足場が悪い場所も、ラクダは気にせず進んで行く。
ラクダに乗って遺跡巡りを楽しむなんて余裕は無く、すぐに降ろしてもらった。
「ねえ、ラクダに乗せてあげたお礼にチューしてよ」なんていうラクダ乗りのお兄さんに
ありがとう、でもやっぱコワイー!ごめんなさいー!と思い、ダッシュでサヨナラ。

  

数少ないツアー客も、こんな奥までは来ないみたいで、まるっきりの一人になった。
葬祭殿や墓の谷をうろうろする。遺跡中心部から西に1km程離れた所にある共同墓地の
遺跡が「墓の谷」と呼ばれている。300体以上の遺体を収容できるエラベール家の搭墓や
貴族のお金持ちだった「三兄弟の墓」、がらんとした荒野にぽつぽつと並んでいた。
向こうには「アラブ城」と呼ばれるお城が見える。
急勾配で何も無い岩山のてっぺんに、小さなお城があり目立っている。

  

もっとパルミラ全体を見渡したい!と思い立ち、アラブ城隣の岩山に上ってみる。
地元の少年に、なんだか怪しい人みたいな目で見られたけど、気にしない。
確かにここは登るような場所ではないけど、岩山をせっせと登ってみる。
後ろを振り向かず、ひたすら頂上だけを見つめて、登る、登る、登っていく。
やっと頂上について、ここで初めて振り返った。後ろに広がるであろう大地を見た。
目の前には思った通りの素晴らしい景色。一面に続く砂漠と遺跡が、全部見渡せた。
すると急に、少し曇り気味だった空が、急にひらけて光がパッとさした。
それは一瞬のこと。手品かと思うくらいの、魔法かと思うくらいの、一瞬の変化。



       遺跡は好き。
       一人佇み、古代に思いを馳せる。
       目を閉じて、時代の流れを感じる。
       自分の他には誰もいない。
       ここだけ、世界が変わる。


  

一日中、パルミラ遺跡の中をのんびり散歩して、ぼーっとして過ごした。
遺跡はずっといても飽きない。のんびり過ごせる。何も無い、それがいい。
人がいない、それがいい。大地と風と空を感じる、それだけでいい。
今回の旅で訪れた中東三大遺跡、ペトラ、バールベック、パルミラ。
その中でも個人的に一番気に入ったのがパルミラ遺跡だと思う。
観光客がいなくて、広々としていたのが、すごく気に入った。
帰り道では羊飼いのおじさんが放送禁止用語を叫びながら
追いかけてきたり(笑)、相変わらず逃げ回ってました。

  

さて、町に戻って土産物屋を見て回る。
パルミラとは「パーム(ナツメ椰子)の街」という意味だけあって、
乾燥させたナツメが至る所に干してあった。といっても当時は味見して
「This is dates」と言われてもそれがナツメだとは分からなかったんだけど。
その濃厚な食べたことの無い果実の味に感動して、お土産にと少し買う。
タダでお茶をあげるから、飲んでいきなよ、Syria Hospitalityだから、
と優しいお兄さんの好意に甘えてお喋りしてたら、急に言われたのが
「Can I Kiss You?」いやいやいやいや。お断りして別のお店へ。

可愛い雑貨が多いんだけど、どれもツーリストプライスなのか若干高め。
日本じゃ使えないの分かってるのに、ラクダの毛で作ったらしい
変な現地のバッグや銀細工が欲しくなる。結局何も買わなかったけどね。
だって店でもやたらセクハラが多くて、なんだかセクハラ食傷気味です。
うちのパルミラの思い出は「やたらセクハラが多かった」これでいいのか!?^^;
道端で瓶の砂絵を作ってるお兄さんが居た。誰もいないのに、黙々と作ってた。
砂絵の瓶詰め。砂漠の夕日とラクダをモチーフにした絵柄の瓶が並んでた。
その職人技に見とれてしまい、一本丸々できるまでを黙って眺めてた。
瓶の中に砂を流し込み、細い棒でつつきながら形を整えていく。
そういえば万博でヨルダン館に行ったときも、砂絵の実演やってたっけな。

 

さて、次の町に向かわないと。
パルミラはイラクの国境まで約230km。もちろんそちらに向かう訳もなく、
反対側へと向かいます。目指すはシリアの首都、ダマスカス。
朝チェックアウトした後荷物だけ置かせてもらってた宿にお礼を言って、
バス乗り場を目指す。軽食代わりのトマトチーズ味ツイスターはなかなか。
ひたすら歩くも、バス乗り場は見つからない。バス降ろされた場所とは別だから、
全くどこにあるのかも分からないし、地図にも載ってない。人に聞いて歩くだけ。
何台も「乗ってく?」と言われるのを断って意固地になって歩くも、見つからない。
歩きつかれてとうとう、バス乗り場方面に行くという地元人に車乗せてもらった。
乗り場についたら、すれ違いでちょうどダマスカス行きのバスが出発したところ。
次のバス出発まで1時間半、町外れの何も無いバス乗り場でバスを待つことに。
どうしたらいいかと思って、バックパックに寄りかかって道端にしゃがんでた。

そしたら急に寂しくなって、涙が出てきた。
なんで20sp(\46)節約してバス乗り場まで歩こうと意固地になってたんだろう、
たった50円余りで大事な旅の時間1時間半も損して、本当馬鹿みたいって思った。
だれも構ってくれないし、さっきまで遺跡で楽しかった一人の時間も
急に寂しくてたまらなくなった。なんでこんな所に一人ぼっちでいるんだろう。
なんで一人旅なんてしてるんだろう。いつまでたっても成長してない自分。
今回の旅始まって以来の号泣。泣いて、泣いて、涙が止まらなかった。
道端でしゃがみこんでひたすら泣いてる異国の少女がやたら怪しかったのか、
近くでたむろしてたタクシーの運転手のおじさんが、心配して声を掛けてくれた。
「どうしたの?」って聞かれたけど、「バスに乗り遅れたから」なんて子供みたいな
理由を言うわけにもいかず、複雑な心境を英語で説明する元気も無く、ただ黙ってた。
チャイを探してきて「飲んだら暖まるよ」とくれたおじさん達の優しさが嬉しくて、
その優しさにほろりときて、泣き止んだと思ったのにまた泣いて、その繰り返し。
バス待ってる1時間半の間、結局タクシー運転手のおじさん達が話し相手になってくれた。
パルミラからダマスカスまで125sp(\289)のチケットも、買うの手伝ってくれた。
仲良くなっていろんな話してたら時間はあっという間に過ぎ、もうバスが来た。
こんな時間を持てたのなら、バスを乗り過ごしたのも悪くない。
現地の人と知り合って話が出来るっていうのは、貴重な時間だから。
あみ、また一つ強くなった(はず)。
次の町はシリアの首都ダマスカス。

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