中国の旅〜チベットの湖・ナムツォ編〜

旅記28〜チベット自治区・ナムツォ編(前)〜「雲が掴めそうな青い湖で昼寝」

8/12。ナムツォに向け出発。
ちゃんと起きれたよー!もちろんバスでは寝る気満々で。
昨日の夜話込んでた時には、もしかしたらバスは全員日本人かもと思ってたから
伝言ゲームやしりとりなど、遠足気分で盛り上がるかっていう計画を立ててた。
でも実際には他の宿の参加者も混じってたみたいで、西欧系や中国人も混じって。
そんなアホな計画は実行されないまま終わってしまいましたー。
バスで寝てたんだけど、窓からの冷気が腰の服とズボンの隙間に入って寒い。
みんなウィンドブレーカーとか着込んでるのに、うち一人薄着なのさ・・・。
行くのに7時間くらいかかるんだけど、半分以上がボコボコ道。
寝てられなかったね。バスの天井に頭ぶつけそうなくらい跳ねた。
中国に来てからずっとお腹の調子が悪いという(きっと中華の油のせいね)
少年くんは、今回も調子が優れず気分悪くなってバスの中でも寝込んでた。

途中でバスがだんだんゆっくりになって、とうとう道の端に止まった。
そう、予想通り故障。しかも今回はパンクという珍しいケースだった。
予備タイヤは溝が磨り減って無くなってて、むしろこっちの方が
危ないんじゃないかっていうような代物。これで大丈夫かいな。
修理中も外に出てたのは数人しかいなかった。だって寒いもの。
でもうちは気持ちが良くて、自然を感じられるから外で駆け回ってた。
あまりの寒さとうちの薄着さに、優しい旅人さんが毛布貸してくれた。
ジャッキって中に人がたくさんいても普通に持ち上がるもんなんだね。

途中、地元民によるホーストレッキングの激しい勧誘もあったりして。
7時間程でやっとナムツォに到着!途中山の頂上から湖が見下ろせて、
もうすぐ着くぞって思ってたのにそこからがかなり長かった。
宿はテントが沢山張ってあって、どこも似たり寄ったりなんだけど
そこから選んだ。なかなかいいじゃん!って思ったらそれは40元で
安いテントは30元だった。で、値切って結局25元。hai keyiってとこか。
トイレもシャワーも無いって聞いてたから、みんな覚悟はしてたんだけど
本当に無かった。シャワーはいいとしてトイレは少し困る。
でもしばらく探索してたら見つけた。ナムツォ式トイレ。
岩陰に板が通してあって、入り口に小さな看板がついてるの。
「没有人」っていうのをひっくり返すと「有人」っていう表示になる。



覗いてみるとノーコメントこの上ないんだけど、よくできたつくりだった。
中に入るには入れない状態だったため、みんな結局テント傍の物陰利用してるし。
1時前だったから、昼ごはん食べてから散策することにする。
日本人メンバーは全部で8人。テントでお茶飲みながらお菓子で済ませる。
まだ何もしてないのに来るだけで疲れてて、ぼーっとしてた。
待ちきれなくて、一足先に出発。まずは湖のそばに行ってみることにした。
みんなついてくるかな?と思ったら来ないし、自由に個人行動だったみたい。

ここ、ナムツォは青海湖についで中国で二番目に大きな湖。
高度的には一番高い場所にある湖で、天の湖っていう呼ばれ方もしてる。
高地だから雲がすっごい低い場所にあるのね。手が届きそうなくらい。
湖や地面すれすれに雲があるから、立体的だしくっきり影が映ってる。
湖は有り得ないほどの水色をしてて、光によってキラキラ色を変えてる。
背景の山々にはもちろん雪が積もってて、青と白のコントラスト。
地面には草花が咲いてて、チベットの旗が重なり合ってはためいてる。
ナムツォのシンボルでもある大きな二つの岩が、自分を迎えてくれてる。
今回の旅行で景色が一番美しかった場所が九塞溝なら、二番目に入るな。

まず湖の傍に行ってみたんだけど、波が打ち寄せててまるで海みたい。
手前がうすいエメラルドグリーンで、奥が濃い水色って分かれてる。
境界線を引けるくらいはっきりと分かれてて、なんでだろうって思う。
人はあんまりいなくて静かで、自分のペースでのんびり出来る。
しばらく散策したら、今度は丘の上に登って湖を見下ろしてみることにする。
テント型のチベット旗を越え石段を登っていくと、ヤギがこっち見てた。
ヤギは岩の上を軽々と飛び回ってたのに、うちは数歩で既にバテる。
ラサよりも更に高山高地なので、階段は本当にキツい。はぁはぁ。
途中にはチベット旗が何百、何千と風にはためいて色とりどり。
何年も前の色あせた旗から新しい旗まであって、今までの歴史を感じる。

やっと一息つける場所に来たら、本当に綺麗に湖が見渡せた。
湖は真っ青で、煌めいてて、草が萌えてて、雲がもっと近くて。
裏側にも湖があったんだけど、こっちの方が色が濃くてまた違った感じ。
同じバスの旅人何人か抜かしながら、どんどん登って行った。
もちろんちょっと歩いては休憩、歩いてはまた休憩、だったけどね。
軽く工事してて手すりや展望台作り始めてたけど、無いほうが絶対良いのに。
というか、むしろあったら眺めが少し悪くなる気がした。分かんないのかな。
てっぺんに行くまでかなり時間かかって、引き返そうかとも途中で思ったけど
最後まで来て良かったと思う。360度近く湖が見渡せて美しさに溜め息が出る。
雲が近いって言ったけど、本当に湖すれすれで重なってるかもってくらい近い。
けど、もやもやした感じじゃなくてはっきりとした形を保ってるの。
手を伸ばしたら届いて、雲をちぎって掴めるんじゃないかって気がするんだ。
端っこの岩場の方まで行ったら、そこで寝っ転がってお休みタイム。
ラサ以上に寒いのか暑いのか分からない気候なんだけど、
(高度が高いので寒いんだけど、日差しが強すぎて暑い気もする)
寝っ転がってると、日差しのギラギラさを直に感じる。



しばらく休んでのんびりしたら、またナムツォ探検を再開。
今まで来た道を戻るのは面倒だし、せっかくここまで来たんだしと思って
岩場近くの崖を下りて、湖畔をぐるっと周って戻ることにした。
源義経も鹿が駆け下りた崖を馬で駆け下りたし、と思ってね。
でも。現実はそんなに甘いもんじゃなかった。死ぬかと思った(^^;
岩場はさすがに無理だったので、傍の砂地に草が生えてるところを選んで
ゆっくりソロソロ下りていったんだけど、ここもやばかったんだよなー。
とりあえず傾斜がキツかったので、転げ落ちないように注意してたんだけど。
砂がやけにサラサラで滑る滑る。ズザサーーッッって勢いで滑ってる。
足場もしっかりしてないから、気を抜くとスキーみたいに止まらないの。
何回か転げかけて手のひら擦り剥いたり。うぁー負傷したよー(泣)
にっちもさっちもいかなくなって動けなくなって、戻りたくてももう遅いし。
やっと下を通りかかった人に「おいおい大丈夫かよ」みたいな感じで
見られてたけど、どうしようもなく。いつの間にか行ってしまった。
距離があって高かったから、滑って落ちたら助かるか分かんないよコレ・・・。
生きるか死ぬかの瀬戸際で、かなり必死だった。いや、まじでね。
やっとのことで辿りついた時には少しふらふらになってた。ふう。

湖畔は、これもまた綺麗としか言いようがなかった。
さっき見た所よりもずいぶん奥にあるからか、人気もないし自然いっぱいで。
水の透き通り度が半端じゃない。薄い水色で底の小石までくっきり見える。
日がだんだん傾いていくにつれ、湖畔の反射光もキラキラ度が増してる。
キラキラ、キラキラ、眩しくて目を細めちゃうくらい。
途中には小さな池と周りの小道や、湖の中に立つチベット旗の三角タワーや、
何十もの石が積み上げられた搭が何個もあったり、おもしろいの。
気持ちがいいから、波の音を聞きながら湖畔の石場の上でも寝っ転がってた。

しばらくしたら誰かが近づいてきて、急に話しかけられた。
「大丈夫?」「(ん?何だ?)あ、大丈夫です」
「さっき崖を下りてたでしょ、下から見てたよ。本当に大丈夫なの?」
ああ、分かった。さっき崖を下りてるとき下を通りかかった青年二人組みだ。
こんな所で寝っ転がってるから、負傷して倒れてるのかと思われたのか。
中国人旅行者だった。見ず知らずの他人なのに心配して貰ってありがたい。
二人ともうちがあんな所を下りてるのを見て、かなり驚いたらしい。
大丈夫?大丈夫?っていう言葉を連呼され(おそらく10回以上は言われた)
やっとのことで去っていった。少ししか話してないけど良い人たちでした。
そうやってゆっくり湖畔周りを戻って行きました。
次回もナムツォ編。夜は満点の星!!!


旅記29〜チベット自治区・ナムツォ編(後)〜「空から降る一億の星」



8/12夕方。散策にも満足して、日が暮れてきたからそろそろテントに戻る。
結構みんな戻ってて休んでた。うちもかなり歩いたから疲れ切ってた。
だんだん暗くなってきて、夕日を見に丘の上に上がって行った人もいたけど
うちらはここから山頂の雪が夕焼けで赤く染まるのを見よう、ということに。
夕食。ここはどの料理も高いって聞いてたけど、本当に高かった。
人が食べてるのを見てたけど、なんか胃が痛くなってきたし先に帰る。
旅行中も健康児なんだけど、この時はちょっとだけ調子が悪かった。
お腹が痛いんじゃなくて胃が痛くて、キリキリする感じ。
人から薬貰って飲んでしばらく休んだら、すっかり治ったんだけどね。
夕食代わりに買い込んで来たお菓子を食べるも、あまりお腹に溜まらず。
安いからビスケット系やクッキー系ばっかり買ってたし。
ひもじくてご飯が食べたいよーって気分だったけど、我慢我慢。
友達がカップラーメン買ったら1個10元で、水も1本10元だったみたい。
うわーすごい値段だ。水なんて1元で買えるのあるし、市場価格の10倍もする。
やっぱりお菓子を食べつつ、やり過ごしてた。

夜、外に出てみたらものすごい大量の星が見えた!!!!
今までキャンプに行くたびに、夜になると星空に感動してた。
流星雨でもない普通の日に流れ星を13個見つけたりだとか、
芝生の上に寝っ転がって、2〜3時間ずっと星空眺めてたりだとか。
「こんな星空見たこと無い」っていう位の星空を見てきた自信がある。
でも、ナムツォの星空にはどこも適わないんじゃないかな。
星空ランキングの一位に堂々と君臨してもおかしくないと思う。
空一面が満天の星で、こんなに星ってたくさんあったんだって驚くくらい。
天の川や小さい星まではっきり見えるから、空自体が輝いてるように見える。
天の川は小さい星がぎっしり集まってて、本当に「川」なんだよね。
しかも、昼間に雲が近かったように、夜は星がすごい近くに見える。
高地だから、見えるだけじゃなくて本当に空が近いんだろうなって思うけど。
夏の大三角形や、カシオペア座とか星座の形を見つけようとしたんだけど
どこもすんごい光ってて山のように星があるから、見つけにくいの。
もちろん流れ星も見れて、お願い事もした(笑)
その後寒いから布団に包まって暖まってて休んでたら、
夜中にもう一度星見ようと思ったのにいつの間にか寝てしまってた。
真っ暗な中で見たらもっと綺麗に見れるような気がしたから。残念。
夜は寒くて眠れないって話聞いてたけど、そんなこともなく爆睡。

8/13、起床。朝の湖を見に探検に行く。
他の人たちはほとんど寝てて、出発ギリギリまで寝てた人がほとんど。
よっぽど高地で歩いたのが疲れたんだろうね。爆睡だらけ。
昨日行ったのとは反対側の湖畔に行ってみる。こっちの水の方は更に綺麗。
この湖は塩分が多く含まれてるらしいので、舐めてみた人がいたんだけど
味はしょっぱくなかったらしい。ほとりでぼーっと座って景色眺めてた。
空の色も湖の色も透き通るくらいに綺麗で、朝の空気が気持ちよくて。
石を投げて一人水けり大会してみたり、きれいな石探して拾ったり。
鼻歌を口ずさみながら、波に軽く足をさらわれつつも歩いていったり。
人がいないから、気づいたら大声で歌を歌いながら歩いてた。
とりあえず一通りまわって、心残りは無い。満足満足!



さて、昼になってバス出発。ナムツォにバイバイ。
帰りは行きよりも更に揺れて、お尻がシートから離れてばっかりだった。
一番後ろに座ってたから、更に揺れを感じた。跳ねてばっかり。
窓から見える地元民や子供たちは、誰もが手を振ってくるんだよね。
だからこっちも手を降り返して、なんだかすごい嬉しかったなぁ。
バスは倒れそうなくらい傾いて、それでもなんとか進んでた。
道なき道を進んだ運転手さんはすごいって、ひたすら感心するばかり。
途中の休憩場所で、地元民の子供がぶわーって集まってきて
食べ物とかねだってた。バスの外から窓をコンコンって敲いて
頂戴頂戴ってアピールしてきたり。歩いてるとかたまってついてきたり。
もしくはお祭りで撒くチベット紙を買って買ってって言ってきたり。

やっとのことでちゃんとした道に出た。あーーふらふらする。
帰りの道もすごい景色が良かった。しかし運転手さんとばすとばす。
寝台バスやトラックを何台も抜かし、高スピードでどんどん進む。
まぁ中国の長距離バスや車に乗ったときは、大抵こんなんだけど。
こういう時いつも思うんだけど、めちゃめちゃ危険なんだよね(笑)
一車線しかないから、反対車線を追い越し車線代わりに使うんだけど
急に対向車が来たり、元の車線に戻るのがギリギリだったりして。
ぶつかりそうになったことも何回もあるし、ヒヤッとすることも多い。
抜いたり抜かされたりカーチェイス状態でした(笑)

という訳で、帰りは行きよりも早かった。あっという間。
帰りに温泉に寄るっていう話もあったんだけど、寄らなかったみたい。
ナムツォは景色最高で、やっぱり行って本当に良かった!!!!
バスなどの公共交通機関が無いからか、かえって自然が荒らされずに残ってる。
あの青い青い湖も、手が届きそうな雲も、満天の星空も。
どれも心に残る思い出となりました。行ってよかった。
次回はまたラサ編。買い物買い物。

やっと到着。人もほとんどおらず、ナムツォは秘境だった。
「納木錯」と書いてある双子岩は、チベット式の旗で守られている。
右上に、カモシカらしき動物発見!
山の上に大量にあった、チベット旗に囲まれて。
だだっ広い丘と湖。高度が高いから雲が湖面すれすれ。
掴めそうな勢いで雲が迫ってくる。すごい迫力。
湖面に雲の陰が出来て、またその部分の色を変える。
背景の山の頂には雪が積もっている。さすが高度5000メートル。
太陽が湖面に反射してキラキラと眩しく光っている。
どうしてこうも場所によって水の色が変わるのだろうか。
「天の湖」「天国に一番近い湖」と言われるだけのことはある。
「世界の中心で愛を叫ぶ」風イメージ。オーストラリア??
もちろん地面には花だって咲いている。
ナムツォまでの道は長く、険しい。不思議な風景に出会う。
写真を撮ってたらなぜか入り込んできた現地の民。

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